徒然なるまゝに

心にうつりゆくよしなしごとを書いてみる

アルケミストに背中を押されて

お題「泣ける本を紹介してください。」

6年程前のこと。池袋で梟書茶房(☚ドトールのコンセプトカフェらしい)というところに入り、「珈琲と本のセット」を試したことがある。珈琲は本のイメージに合わせたオリジナルブレンド、本は袋綴じで何か分からないというワクワク感がある。

テーマは「客気(かっき/きゃっき)」というセットメニュー。そういえば、客気とはどういう意味かと今更ながらに調べてみると、

  1. その歳の運を動かす、外部からくる運気。⇔主気。
  2.  血気さかんでものにはやりやすいこと。また、うわべだけのから元気。
  3.  移り気であること。浮気っぽいこと。

うーん、なんかこの本のイメージと違うな。

リボンを解いて開けてみると「アルケミスト」という本だった。せっかくなので、珈琲をいただきながらページをめくってみると、そこから一気に吸い込まれて、4時間程で完読してしまった。

はっきりと覚えてないけど、あの時の自分に刺さる言葉が次々と出てきて、弱い心を見透かされているような気がして、途中でちょっと涙ぐんだ記憶がある。純粋だったのかなぁ。

仕事がとても忙しくて、私生活も仕事の責任に振り回されていた時期だったので、この仕事を続けてていいのか、こんな人生いいのか、でも、待遇は良いし、同僚との関係も悪くない、こんな恵まれた環境で何の不満を言ってるんだろうとグチグチ悩んでいたんだと思う。

本を読み終えた時には、スッキリして、どこに向かうわけでもないけど、一歩前に進んでみようと根拠のない勇気が湧いてきた感じがした。やっぱり純粋だったのかもしれない。

本を読んでから半年後に会社を退職した。そして、学校に行き資格を取り、通信大学の残りを終わらせて卒業し、派遣とフリーランスの二足のわらじ生活をやってみた。が、結局、再就職し、以前と同じ仕事をしている。今のところアルケミストを読む必要はないかな。

ちなみに、母に読ませたら、あまり感動しなかったという感想だったので、人生に迷ってない人には響かない内容らしい。

ーーーここからは本のネタばれーーーーーー

アルケミスト」は、ブラジル人作家のパウロ・コエリーリョによって書かれた小説。「世界で最も読まれた本ベスト10」の第5位に入っているという本。
「自分の夢や人生を探求して生きるのか、それともそれを諦めて生きるのか」ということについて、主人公の少年が旅をしながら何度も選択を迫られる。心の声に耳をすまして、それに従うのか聞こえないふりをするのか。慣れ親しんだところから離れるかとどまるのか。悲惨な状況を受け入れて諦めるのか好転機と考えて前に進むのか。人生は貴方の選択次第ということを教えてくれる本。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー